「深刻な人手不足」
介護労働安定センターの介護労働実態調査によると、介護士の悩みとして一番多く挙げられていたのが「人手不足」でした。
日本は今、高齢化が加速し要支援者・要介護者が増えています。多くの施設で人手が不足している状況ですが、その結果、現場で働いているスタッフに負担がかかっているんですね。業務量が多いため休憩時間や休みが取りにくく、「やってもやっても仕事が終わらない!」「忙しくて休んでいる暇がない」と思っている人も少なくありません。
「身体的な負担が大きい」
入浴介助や排泄介助など利用者の体を支える作業もありますし、長時間立ちっぱなし、ということもあります。そのため、腰痛に悩まされたり、業務量が多過ぎて疲労が取れず介護の仕事を続けることが難しくなったりする人もいます。また、24時間体制で稼働している施設では日勤だけでなく夜勤もありますが、夜勤は日勤に比べて拘束時間が長くスタッフの人数も少ないので体力的にもきつく、健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。
「精神的な負担もある」
利用者は高齢者が多く、体調が急変することもあるので些細な変化も見逃すわけにはいきません。日頃から利用者の体調に気を配り、急変に対応するために迅速かつ的確な判断ができるように知識やスキルを身につけなければなりませんが、いつ急変するかわからず気を抜けない状況下で仕事をするのは精神的に大きな負担がかかります。
また、特別養護老人ホームのように終の棲家のような役割がある施設では看取り介護も行っています。利用者の最期に立ち会うこともあるため、大きな喪失感を感じなかなか気持ちを切り替えられない人もいます。このように精神的な負担を感じることが多いせいか、介護の仕事から離れる人も多いため、大変だといわれるようです。
「人間関係の難しさ」
人間関係の構築が難しいことも介護の仕事が大変だといわれる理由のひとつです。介護業界は性別や年齢を問わないのでチャレンジしやすい反面、幅広い年齢層の人が一緒に働いているので価値観の違いから衝突が起こりやすいんです。
また、施設によっては介護士だけでなく看護師や栄養士、理学療法士など様々な職種の人がひとつのチームとして利用者を介護していますが、職種によって考え方や方針が異なります。そのため、意見がぶつかり人間関係が悪化した、というケースも少なくありません。
「施設の方針との相違」
「高齢者と接するのが好き」「人の役に立ちたい」など介護士を目指す理由は色々ありますが、「こんな介護をしたい」という理想の元、介護の仕事に携わっている人がほとんどではないでしょうか?しかし、実際には施設で決められている方針に沿ってサービスを提供することになります。利用者とのコミュニケーションを重視しながら信頼関係を築きたいのに、施設では効率を重視し会話をする時間がほとんど取れない、ということもあります。自分がやりたい介護を提供できないことに納得できず、モヤモヤを抱えたまま仕事をしているので何かあればすぐに「大変だ」と感じてしまうようです。